広島/八本松 カリグラフィー教室 Ninograのブログ

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Memories from 2017 〜1

すっかり書かなくなってしまったブログ。

ここ数年であっという間にweb上でありとあらゆる情報が手に取るように分かってしまう時代になりました。

とても便利で刺激的だと思うと同時に、自分の色々な考えや没頭して学んでいること、経験したことをあえて公開する必要があるのだろうかと疑問に思ってしまうように。

でも、やっぱり大切な記録や思い出は・・・この場所に最小限記録していこうと思います。

NINOGRA カリグラフィー教室展
2017.12.2(Sat)-12.6(Wed)

書き方を学んで練習するだけではモチベーション維持が難しいもの。

「一つの作品を作り上げることで色々な事を体験できる、学べるよ」と説得し、久しぶりに教室展を開催することになりました。

今回は初めて作品を作る生徒さんも半数以上いましたが、みな無事完成し教室展では嬉しそうで清々しい表情をしていました。

生徒さんの一生懸命な姿、楽しそうな顔、嬉しそうな顔を見ることが出来、教える側の者にとってこれが一番のご褒美・・・だと胸が一杯になりました。

ありがとう!

アメリカ・カナダへの旅 カリグラフィー

1年近くも放置してしまったホームページやブログ。

この1年は自分の中でやりたい事をとにかくやり尽くした年でした。なのでかなり燃え尽きていましたが、そろそろまた次のやりたい事に向けて動いてみることにします。

去年の今頃東京での展示”ARABESQUE”が決まり、それに向けて9月まで試行錯誤のハードな日々が始まり、なんとか無事展示終了。終わってすぐ夫婦でアメリカ・カナダへ16日間の旅を企画し実行(かなりハードなスケジュールを無事達成)、帰国して2日後に再度東京に向かいLuca Barcellona のワークショップに参加しました。

一度に学んだことや経験したことが多すぎて、まだ色々なことをまとめ上げられていません。カリグラフィーの腕は脳や手を常に動かしていないと衰退する一方なので、毎日少しでもトレーニングしながらアレヤコレヤ模索しています。

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今回のアメリカ・カナダへの旅は目的は3つありました。

1、Spencerian(スペンサリアン体)を生み出したPlatt Rogers Spencer(プラット・ロジャース・スペンサー)の故郷、アメリカのオハイオ州にあるGeneva-On-The-Lakeで開催される Advanced Spencerian Saga(スペンサリアン愛好家たちの勉強会)に参加する事。

ディレクターであるHarvest CrittendenからはOnline classで学びましたが、その豊富な知識と考え方に完全に魅了されました。Harvestは今爆発的人気?のPointed pen Calligraphyの本当の奥深い知識に加え、伝統的なBroad-edged pen calligraphyの知識も同時に兼ね揃えている素晴らしいカリグラファーです。

私はカリグラフィーを始めて20年以上、国内外で数々の著名カリグラファーから学んできましたが、技術や表現の才能はあっても”教える・伝承する”という才能はまた別だと思っています。

Harvestの指導法は丁寧で、文字の歴史を深く理解し、細かく分析し、その知識から生まれてくる美しい文字の世界へ書き手それぞれの個性を大切に導いてくれるものでした。

そして久々に緊張!とても美しい女性でした。

2、私が心から崇拝しているカリグラフィーの師匠、Martin (Martin Jackson)と奥様であるPatsyに再会する事。

25歳の時にカナダに留学し、それから家族の様に付き合っているMartin家。最後に日本に招いてから6年経ってしまいました・・・。メールや電話でやり取りはしているけど、実際に会っていろいろな事を話したい、そしてMartinの大事にして来たモノを受け継ぎたいとの思いがやっと実現しました。私の旦那様もMartinの奥様Patsyもおしゃべりなので、朝から晩までずーっと食べて飲んで話しての楽しい4日間でした。

留学してから20年経とうとしています。時が経つのは本当に早いです。カナダ・バンクーバーの事情、あらゆることが変わって来ている様子。カリグラフィー事情も変わって来ている様子。

ただ変わっていないのはMartin家での温かいもてなしといつも通りの楽しい会話。

いい家族、友を持つということの有り難さを痛感しました。

3、ずっと働き続けて来た旦那さんの夢を叶える事。

脱サラして3年になろうとしています。他の国の様に長期で休みが取れる会社なんて日本にはほぼありません。30年間の勤務を終了し、有言実行の彼はほぼやりたいことへ全力で挑戦しました。最後は外国へ住んで勉強してみたかったということで、忙しくなる前に思い切って二人でアメリカ・カナダへ個人旅行を企画しました。

過去に留学した経験がある私にでも、この16日間はあらゆることを経験しハードで実りあるプチ留学でした!

現地の方々とたくさん交流しながら色々なことを経験したのですが、私にとっての一番の収穫はとても器用な旦那さんにカリグラフィーの道具作り技術を伝授していただいたことです。

 

1と2についてはまた書きたいと思います。

 

 

 

Letter Arts Review 30:1 The Annual Juried Issue

唯一グローバルな世界で自分のカリグラファーとしてのレベルを確認できるアメリカのレターアート季刊誌、”Letter Arts Review 30:1 The Annual Juried Issue”に入選しました。

昨年の11月ころに2点入選の連絡が来た時、嬉しさとともに少し複雑な気持ちもありました。

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なぜならいつも私が入選するものは、自分にとってただただ楽しんで作ったもの=思慮深い想いが特別に入っているものではないのです。

文字については常に審美眼を持って邁進しているつもりですが、”楽しさ、自分の求める単純で面白く生きる世界観”を文字の造形で表現したものが評価されているように思います。文字デザイン的なもの・・・。

もともと文学を読んで思慮深く考える人間ではなく、完全な感覚人間なので、長くカリグラフィーをやっていると自分の方向性が自然と分かってきたような気がします。

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面白いことに特に同世代のカリグラフィー仲間達はみな個性がバラバラ。
それぞれの目指す世界観はとても独創的。彼女達の作品をみるといつも自分に足りないものが良くわかります。でも、自分には到底到達出来ない素晴らしい世界観。

彼女達がいるから、もっともっと自分が頑張れる・・・とても良いスパイスです。

今回の講評で審査員の一人、Peter Thornton氏が最後に書いていたこと、

“What do you want to say with your calligraphy?”

When you discover your own unique answer, you will know better what you need to learn and, perhaps, the tools you will need to learn and, your goal.

Now, back to the joyful act of writing.

この課題は昔から考えていること、そして少しずつその答えに気付いてきているんじゃないか・・・ということに自分なりに嬉しく思いました。

Peter氏から直接学んだことはありませんが、昔conferenceなどでは良くお見かけしていて、なんといっても奥様のSherriさんから学んだ貴重な時間は私の忘れられない思い出の一つとなっています。

なのでメッセージを送ってみました。

そうしたところ、このPeter氏がこの問いに自身の思いを私に送ってくれました。

Yes, it is an interesting question one area/aspect of calligraphy that I am interested in is “Delicacy and sensitivity” as I feel it helps with what “I want to say”.
I think this is a very natural quality of many/most female calligraphers (especially Japanese!!) but not quite so common in we men:)

また次に向かって邁進したいと思います。

*家にツバメちゃんがやってきました!自然のことだけれど、今年も楽しませてくれることを願っています〜。