広島/八本松 カリグラフィー教室 Ninograのブログ

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Letter Arts Review 33:1・The Annual Juried Issue

アメリカのレターアート季刊誌、”Letter Arts Review 33:1 The Annual Juried Issue”(2019年発行)に入選しました。

Christina G. Rossetti のこの詩は私の愛するツバメさんへの想いそのままです。

Letter Arts Review 33:1・The Annual Juried Issue

 

 

memories from 2018〜ベルギー・オランダへ旅③

オランダへの旅

16世紀から17世紀にかけてが黄金時代であった”The golden age of Dutch calligraphy”。

とても勇気がいることだったけれど、二人で手分けして日本からRijksmuseum Amsterdam(アムステルダム国立美術館)とAmsterdam University Libraryに連絡をとってみることに。果たして大学関係者でもない日本人カリグラファーに門を開いてくれるだろうかと不安の気持ちで一杯でした。

光栄なことに二人の気持ちは通じ、快くたくさんの資料を見せていただけました。

Rijksmuseumのreading roomでは人間の手で書いたとは到底思えない精巧なオリジナルを目の前に、ルーペを使って穴があくほど鑑賞しました。気がつくと4〜5時間いた様子。二人とも目の下が真っ黒に。信じられないものを観てしまったという興奮と感動で自然と涙が溢れ出していました。

Amsterdam University Libraryではカリグラフィー的な観点で質問する二人に、大学で発行された書籍を紹介してくれました。ほぼオランダ語ですが・・・。専門的な分野なので英語、オランダ語で理解することはかなり大変ですが、今後少しずつ読み解いて行きたいと思います。

不思議なことに、現代カリグラフィー界ではこの分野の書籍はあまり存在しません。現地のカリグラファー達に聞いてもあまり興味がない様子。歴史的な何かがあるのか、言語紛争の影響か・・・。

何はともあれ、ベルギー・オランダへの旅は二人にとってこの上ない幸せなものでした。

学べるって最高の贅沢!

必ず今後に活かして行きたいと思います。

memories from 2018〜ベルギー・オランダへ旅②

オランダという国、トランジットで空港に立ち寄ったことはあるものの、カリグラフィーを目的として旅をしていた私には長年頭にありませんでした。

でも今は一番と言っていいほど気になる魅力的な国になってしまった。人生いつ何に興味が出るか分からないもの。

2010年に私の師匠であるカナダのMartin Jackson氏を広島に招いた時、いくつかお宝を持参し展示してくれました。Martinは長年ワークショップ等で世界中を旅しながら年代物のカリグラフィー関係書籍や道具などをコレクトしていました。お宝を見せて欲しいという私の問いに興奮して応じてくれた内容に私も虜に・・・。

30年前に手に入れたという品、すでに40年前に。これは一体何?私の知っているカリグラフィーではない。こんなに精巧なのに自由で躍動感を持った文字、初めてみた。どうやって、何を使って書いているのか。たくさんの疑問にMartinは彼なりの分析、情報を教えてくれました。

16世紀から17世紀にかけて活躍したFlemish writing masters(Flemish、Dutch calligraphers)のカリグラフィー、”The golden age of Dutch calligraphy”。英語圏を中心に発展した現代カリグラフィーという分野ではあまり情報が公開されていないため、当時はお宝として胸の中にしまっておくことにしました。

お宝の数枚を譲ってもらいました。それを眺めては、ただただあまりのカッコ良さに額装し眺める日々が数年続きました。

5、6年前、突然我が家に1羽のツバメがやってきました。なに?なに?なに?ツバメはもう1羽やってきて、私がずっと近くで観察しているにも関わらずせっせと巣を作り6羽の子ツバメを立派に育てあげました。それ以来毎年やってきてたくさんの子育てを見守っています。あまりにも美しくて愛らしいツバメさん。ツバメさんのことが知りたくてたまらない私は春から夏にかけては観察の毎日。おかげでカリグラフィー作品を創る際には頻繁にツバメさんが絡んでくることに。何もかもが愛らしいツバメさんですが、飛行術は圧巻。優雅でかっこ良く、自由自在に様々な飛び方をしている姿自体が芸術的。

こんな風に文字が書けたらなあ・・・という願望と共にこのFlemish wiriting mastersの文字を自分なりに分析してみることにしました。私にはツバメが自由自在に飛んでいるように見えるのです。とはいえ、ほぼ古オランダ語。何がどう書かれているかさっぱり分からない。英語で説明されている資料をたくさん探し、頭を抱ながら謎解きをする毎日が始まりました。

2016年にカナダを訪れた際、Martinから遂に譲り受けたWriting mastersの一人であるCornelis Boissensの本(1605年)。ずっと宝物として大切に保管していたMartinに感謝すると共に、譲り受けた恩を必ず返したいという気持ちで一杯になりました。恩とは、私なりに分析して書いた作品を見せたいということでした。

目標となる書体を理解するまでに関係すると思われる書体を同じ大きさで書いてみたもの。

現在までの分析で仕上げた作品。でも、ここからが始まり。

今回のベルギー・オランダ旅行の一番の目的は、実はたくさんの資料とオリジナルを直接この目で観たいということでした。

つづく